■ Kelly Joe Phelps / Western Bell

キャリア中、初の全編ギター・インストゥルメンタルアルバム。ギターは、6弦、12弦のギターに、ラップスライドギター。
よくはわからないが、他のリスナーが書かれているように、オール・インプロピゼイョンというか、事前に作曲されたものをレコーディングするという通常の手順を踏まずに即興で演奏されたものかもしれない。確かにそういう音は全編で鳴っている。ただ、じゃ、いわゆる「フリー・ジャズ」のような類の音なのかというと、そうではないように感じられる。ただ「フリー・ジャズ」についてはほとんど聴いていないので、その辺はきわめていい加減な感想ではあるのだが。
少なくとも、ここには「フリー」に対する当為は感じられない。彼のこれまでのアルバムで聴かれていたカントリー・ブルース的な音がベースになった上での音作りであることは確かだろう。なじみのあるメロディやリズムの展開も始終登場する。
あらかじめ作曲されていない音を、探しながら演奏していくことの意味は、ごく普通に考えれば、演奏している当人にも考え付かなかった音や展開や響きが「降りてくる」ということだろう。そういう意味では、これはなかなか興味深い音になっている。通常の流れを、「まったく」ではなく、いくらかずつずらしながら音の痕跡は、やはり今まで聴いたことのなかった感覚と「世界」を味わわせてくれる。予定調和の心地よさとは、まったく異なる「心地よさ」は否定しがたくここにある。
もしかたら結構久方ぶり、のスライドも聴こえてくるし、何よりも音の響きの美しさは際立っているように感じられた。所々で聴こえてくる立ち切れの「リリシズム」は、何だかまるで私たちの日常を暗示しているようで、私は結構、この音が気に入っている。、
試聴

