■ Triosk Meets Jan Jelinek / '1+3+1'

最初に聴いたヤン・イェリネックのアルバムは、確か'La Nouvelle Pauvret'だったが、これは個人的には今ひとつだった。だが、当時まだデビュー前だった、オーストラリアはシドニー出身のトリオスク(いわゆる'Nu jazz'トリオとしておく)と組んだこのアルバムは随分とよく聴いた。2003年リリース。
最初に、ベルリンのイェリネックがループやらサンプルやらを制作し、それをシドニーに送り、トリオスクがそれをもとに演奏し、それがさらにベルリンに戻され、最終的にイェリネックに仕上げるという手順が踏まれたようだ。タイトルはそこに由来するらしい。
で、出来上がったものは、さすがに(今となってはそう言えるのだが)イェリネック絡みという音になっている。
イェリネックにはおそらく、トリオスクの演奏をメインのテーマに据えるという発想はたぶん微塵もなかったのだろう、それが功を奏しているように思われる。だからこそ、トリオスクの奏でる生演奏がひとつの有効な素材として音の中で活かすことが可能になったように思う。
曲としてのきちんとした展開はここにはない。ジャズではなく、ジャズトリオの音を素材にしたエレクトロニックなサウンドということだ。しかし、そのループとサウンドテクスチュアを織り成す音の響きは恐ろしく「クール」で聴かせる。
音に対するエディトリアルな感覚、音色や響きへの繊細さと、ラフでインプロ的な野性味が同居する様はやはりスリリングということになる。
試聴

