豆腐に柳

音楽、書物、映画等の感想、その他日々のあれこれ

Diane Birch / Bible Belt

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 各ウェッブサイト、ブログ等で絶賛の女性SSWのデビューアルバム。
 大して期待せずに、アルバムタイトルにはちょっと警戒しながら、とりあえず試聴してみたら、参りましたということで購入の運びとなってしまった。
 曲は、すべてダイアン・バーチ自身。
 プロデューサーにはスティーヴ・グリーンバーグ(このアルバムのレーベル'S-Curve'のヘッドで、ジョス・ストーン等のソウル方面の仕事も多いようだ)、ソウルシンガーのベティ・ライト他都合3人の名前がクレジットされている。
 参加ミュージシャンには、シンディ・ブラックマン、レニー・ケイ、スタントン・ムーア、レニー・ピケット等の著名どころが並ぶ。
 一聴して思い浮かべたのは、ローラ・ニーロであり、あるいはキャロル・キングであり、場合によっては、少しリッキー・リー・ジョーンズも、と、いずれにしろ60年代、70年代の、ソウルやフォーク(ジャズもちょっとあるか)のフレイヴァーを滋養豊かに織り込んだ先達から受け継いだ音楽性と、彼女自身の、バックカヴァーやインナーに映し出された見るからに華奢の風貌とは不釣合いなほどの豊かな、そしてちょっとハスキーな声が最大の魅力だろう。あとは、容貌のコケティッシュなところも、か。写真を見ると、何となくファッションのセンスも70年代っぽい感じもするが、そのあたりには極めて疎いので、ただの感想に過ぎないが。むろん「狙った」ということもあろうかと。
 ともかくアルバム冒頭の'Fire Escape'の頭、'Goodby My Love'という歌い出しからして、そうした音楽を聴いてきた年齢の聴き手を振り向かせるに充分である。
 曲も、皆よくこなれていて、ほどよくポップ。さらに、上記のアメリカンルーツ・ミュージックと、現代から見ると「ちょっと懐かしい」くらいの「アーバン」なムードが微妙に溶け合い、実に心地よい、音楽が立ち上がってくる。ローラ・ニーロの曲でもよく耳にできたゴスペル風コーラスも悪くない。やはり全体にはソウルの影響は色濃いように思える。レコーディングがニューヨークとニューオリンズで行われているということもそのあたりと関連があるのだろう。

 ちなみにアルバムタイトルの'Bible Belt'(バイブル・ベルト)については、「英辞郎」には「キリスト教篤信地帯、聖書原義主義の影響が強いアメリカ南部・中西部」というような記述がある。
 彼女自身はミシガン出身で、父親はキリスト教の伝道師、世界各地を転々とした経験を持っているとのことだ。そういう経歴を踏まえると、確かに、この音は、「アメリカ」ないし「アメリカン・ミュージック」を一度対象化してから出てきたもののようにも思える。
 そう考えると、それが意識的なものあろうとなかろうと、ある種の「編集」能力と言えるかもしれない。ただそれが、ここまで「シームレス」というか「天衣無縫」というか、であればむろん立派な才能である。

マイスペ
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