■ Gaby Hernandes / When Love

カルロス・ニーニョのBuild An ArkやAmmon Contact、あるいはヒップホップ系のDimliteやTakeその他でもフューチャーされていたギャビー・ヘルナンデスの1stソロ。2009年リリース。
プロデュースは、そのカルロス・ニーニョと、Build An ArkのメンバーらしいAndres Renteria(アンドレア・レンテリア?)にギャビー自身も加わった布陣。曲作りもこの3人で行われ、演奏はAndresとギャビー中心に、カルロスその他が曲によって加わるという形式。その筋では著名なトロンボーン・プレイヤーのフィル・ラネリンも参加。ヴァイオリンやハープの音も聴こえる。ほかにフルートやアコーディオン、サックス等もクレジットされている。
しかしながら、ここにはジャズもヒップホップも採用されない。フォーク的に素朴で美しいメロディに、それに見合ったギャビーの透明感に満ちた屈折感のない声が乗る。何だか60年代の発掘音源でも聴いているような錯覚を起こしかねないような音である。言い方を変えれば、ある種「浮世離れ」した音ということになる。
アコースティックな楽器の響きに包まれた、そうした柔らかな「桃源郷」的世界が展開されるのを聴いていると、単純に気持ちいいし、実に穏やかな気分になれる。あるいは「懐かしい」気分と言ってもいい。その「懐かしさ」が向かうのは、むろん「擬制」であり「仮構」である何某かである。私はその対象については、むろん知るよしもない。だからこの音は私の頭にそういう模造記憶的なものを移植する作用があるということだろう。こういうものを、おそらくは「才能」というのだ。
曲の出来も出色。シンガー/コンポーザーとして彼女が逸材であることも疑いあるまい。
あとは趣味の問題ということかもしれない。

