■ 鷲田清一・永江朗 / てつがくこじんじゅぎょう 〈殺し文句〉から入る哲学入門

大阪大学総長で哲学者の鷲田に、法政大学哲学科卒でライターの永江が、哲学者の「殺し文句」を題材に「授業」を受けるという趣向の一冊。こちらも敬称略ということで。
お題は、いずれかの提案によるということで、実際取り上げられる哲学者は、初回のキルケゴールから、最後のメルロ=ポンティまで総勢23人。何回かの「授業」には、内田教授や「ミーツ・リージョナル」の当時の江編集長もゲスト出演する。
また毎回取り上げられる哲学者の「殺し文句」に当たる一節とそれを含む著作のその前後・周辺の文章も引用される。さらに、取り上げられる哲学者の著作について、鷲田による「読書ガイド」もおまけで付くという、このあたりは非常に読み手に親切な配慮がなされていて好感が持てる。
京都生まれの鷲田は、その「はんなり」とした口調で、比喩や喩えを用いながら「思想」や「言葉」を解読していき、永江が、私たちの比較的「現実的」感覚としてそれをどう理解・咀嚼するべきかを問いかけていくという構図といっていいか。
二人の会話は、「殺し文句」や「思想」の周辺を巡りつつ、時に逸脱しまた戻るというような運動を繰り返す。これをただの「解説書」として読む人はいないと思うが、それより、もう少し余裕と広い視野をもって、つまり鷲田の専門(臨床哲学)に沿って言えば、「臨床的」に考える道筋の一つを示唆してくれているということだろうと思う。
個人的に、印象に残っているのは、オルテガ、フッサール、レヴィナス、バルト、デリダ、ヒューム、九鬼周造、メルロ=ポンティの箇所(多すぎるな)というところか。尤もそれは各々の思想によるというより、その部分の話の展開がおもしろかったからということではあろうと思う。
ただ鷲田総長と内田教授がそろって推すメルロ=ポンティには、ちょっと惹かれるところも。読む読まないは別にして。

