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豆腐に柳

 音楽、書物、映画、美術展等の感想、その他日々のあれこれ

2019.09.10[火] 2019年8月末神戸で Vol.2

翌日、宿泊したホテルをチェックアウトしてから、伊丹空港までのバスの出発時刻までに時間があったので、コインロッカーに荷物を預けて、今度は三宮駅から、丸井と阪神三宮駅の間の通りを海側に向かって歩いてみることに。
「フラワーロード」と名付けられた通りをぶらぶら歩く。
昔、コンサートで訪れたことのある国際会館が懐かしい。面影はあるようにも思うがリニューアルした気がする。
通りにはラグビー・ワールドカップのポスターも。神戸でも試合をやるらしい。
駅に近いところは丸井やその他の商業施設が密集している趣だが、少し離れたあたりから、通りに面して公園のような空間が現れる。ここにもアート作品やオブジェが多い。
その後、通りの、海に向かって右側は、そんな公園みたいなスペースが続く。
で、前日先輩たちと歩いた折に話が出た、花時計に遭遇。
ああ、ここに移転されていたんだ。記憶の中のそれとはちょっと違っていたが、いや、歩いてみるもんだな。思わぬ「収穫」だった。
交通量の多い道路に架かった歩道橋が現れて、そこから先は港の風情だったので、今度は反対側に道路を渡って駅に戻る。

「ミント神戸」を見上げて、駅に向かい、周辺で昼食をとって、荷物を回収し、バスに乗り伊丹空港に向かう。

2019.09.09[月] 2019年8月末神戸で

8月26日から8日まで鳥取の米子へ帰省していた。

その帰り、29日の午前中に高速バスで一旦、神戸まで行き、そこで大学時代の同輩、先輩に会うということになった。
先に三ノ宮駅徒歩7分のホテルにチェックインしてから、14時半に三ノ宮駅で先輩2人と待ち合わせる。
その後、神戸在住の先輩の案内で三宮から元町界隈、メリケンパークからポートタワーあたりを散策に。
町中でオブジェというか彫刻作品、あるいは三宮神社なる神社に遭遇したり、元町では、瀟洒な雰囲気のブランドビル街を歩いたり、明治・大正年間に建てられた古い建物がそこここに残っているのを眺めたりと、学生時代とはうって変わった、あるいは単に知らなかっただけかもしれない町並みを歩いて結構新鮮な気持ちになる。
海が見えてくると、やはり景観ががらっと変わる。
メリケンパーク。まことに広い。人がまばらにしかいない。いいなぁ。こういうところが近くにあると。
仕事が完全になくなったら移住するのもいいなとちょっと思う。尤も思ったのは散策中ではなく、書いている現時点ではあるが。
オブジェや巨大なホテル。その側に停泊した船。スタバ。ポートタワー。
ハーバーランドと呼ばれる入り江を隔てた向こう側には観覧車も。
その後、駅に戻り、先輩と同輩の夫婦と合流し、先輩が予約してくれていた居酒屋でさらに旧交を温める。

2019.09.08[日] 新宿シネマカリテ 映画「カーマイン・ストリート・ギター」

8/10に新宿シネマカリテで映画「カーマイン・ストリート・ギター」を観る。
監督はロン・マン。
チラシによるとロバート・アルトマンのドキュメンタリーを撮ったことがあるらしい。未見だが観てみたい。 
タイトルになっているのは、ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジにある手作りギターショップの名前である。
店主は職人リック・ケリー。PCも携帯も持たない。そして今風の、ブロンドをさらに脱色したような(プラチナブロンドという言い方もあるやも)若い女の子シンディは職人見習い。見習い兼ギターに模様をデコレーションするデザイナーみたいなこともやる。そしてリックの母親も入れて3人で店は営まれる。
この店のギターはすべてニューヨークの取り壊された建物から出た廃材・古材から作られる。店にはチェルシー・ホテル等々由緒ある廃材が保管されていて、いつかギターになる日を待っている。
廃材の傷や染み、凹みやいびつさもみな含めてリックはギターを作り、シンディがギターを飾る。
そんな店とそこにやってくるミュージシャンたちを描いたドッキュメンタリー映画。
これが、ほんとによかった。至福の80分と言ってもいい。
登場するミュージシャンは私の知っているだけでも、ジム・ジャームッシュ(本職は映画監督ではあるが)、ビル・フリゼール、レニー・ケイ、マーク・リボー、ネルス・クライン、チャーリー・セクストン、そしてロバート・クワインも特別に。その他私の知らない若手ミュージシャンもいくらか。リックの作った、ルー・リードのギターも出てくる。
彼らは店を訪れ、リックやシンディと言葉を交わしながら、本当に嬉しそうにギターを弾く。ギターはそれぞれにみないい音で響く。まさに時を奏でているように。
それぞれは短い時間ではあるけれど、彼らとリックやシンディがギターやその音色を慈しんでいるのがよくわかる。
ああ、いいなとしみじみ思う。
リックがシンディへプレゼントするシーン?もほのぼのとしていてよかった。
それをぼんやり聴いているだけで観ているこちらも幸福になれる、そんな映画である。ただしその手の音楽に日頃接していない場合はどう感じるかは何とも言えない。でも何某かのことは伝わると思う。

劇場のロビーにはリックの作ったギターが飾られていた。

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2019.07.08[月] Movix橋本 「新聞記者」

7/4、Movix橋本で映画「新聞記者」を見る。監督は藤井道人。
主演はシム・ウンギョン、松坂桃李。原案は東京新聞記者の望月衣塑子の同名著書。
もともと望月の著書はエッセイのようだが(未読)、映画はフィクションになっている。
レイプ事件もみ消し、大学新設計画に関する疑惑、官僚の飛び降り自殺、等々、この映画に出てくるのは、つい最近実際に似たような事件が起きたことばかりである。それに加えて、内閣情報調査室という実在する組織が登場し、ネットの情報操作を大掛かりに手がける。まさにありそうな話である。今の政権ならやりそうな話だと少なくとも思わせる。
まぁ、官僚の飛び降り自殺の原因になった新設大学の研究テーマへの疑惑についてはそこまでないんじゃないかと思ったが、それも現政権・現与党下の政策ならありえないとはいえない不気味さを感じる。

シム・ウンギョンは個人的には全然知らなかったが、なかなか好感が持てる。好演。設定は日本人と韓国人のハーフでアメリカ育ち、たまににやや日本語がスムーズでないところがあった気がするが、さほど気になるほどではないし、そういう設定ならなおさら問題はない。
松坂桃李も悪くない。しかし、キャストで一番目を引いたのは、内閣情報調査室のボスの多田を演じた田中哲司かもしれない。冷酷そうな、意地の悪そうな「ろくでなし」感、「一線を越えた」感がよく出ていた。
さらに内閣情報調査室のシーンだけ映像の色味が青っぽく変わるのもおもしろい。あれは人間が覚えるあの空間への閉塞感にみちた肌感覚を映像化しているわけだ。
そしてあの部署へ配属された官僚は、その多くが違和感や疑問を抱きつつも知らず知らずのうちに「自己肯定」のためか、あの空間の意味を自身に納得させてしてしまう。
あの空間がこの先、世の中を覆っていくことを画策しているのが権力サイドというのもさほど言い過ぎではないだろう。
私たちが生きているのはこういう社会なのだ。少なくともそう思ったほうがいい。

映画に対しては、絶賛はしないが、健闘はしていると思う。
というか、この政権下で現在の多くのマスメディアの体たらくぶりを考えれば、制作陣の「意気」や、この時期に公開した意図も含めて、応援したい気にさせる。
ラストシーンも悪くなかった。とはいえ最近こういう、意表を突くというかわりにあっけないというかあっさりしたラストが多い気もする。一種のトレンドなのかもしれない。

ちなみに、私が見た上映館は平日午後にも拘わらず、かなり客が入っていた。多くが関心をもっていることを改めて知る。

公式サイトのサーバーダウンとかその他SNS絡みの「いやがらせ」とかの「妨害」もある一方、客は入っている。
ただtwitterで「上映期間短縮」なる未確認情報も目にした。事情はわからないが、もし上映館に対する妨害行為ならそんなものには負けずに上映を続けてほしいのだが。
でも映画が気になる方は、お早めの鑑賞がいいのかも。

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2019.06.27[木] 岩波ホール 映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」

6/20、岩波ホールで映画「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」を見る。
監督はフレデリック・ワイズマン。ドキュメンタリー映画。

連日、混雑ないし満員という噂を聞いていたので、上映14:15の1時間前に当日券売り場に到着し、整理番号91番を確保する。それでも91番かと思いつつ、久しぶりの神保町なので古書店や新刊書店をうろうろして時間を潰し、30分前に会場に戻る。思っていたとおりやたらと客の平均年齢が高い。ざっと見たところ半数以上がシニア層じゃないかと。人のことは言えないが。
10分前から入場開始。整理番号順に入場。実は岩波ホールで映画を見るのは初めてで、事前に座席についてはネットでリサーチ済み。スクリーンが舞台の奥に引っ込んでいるので一番前正面がベストという記事を読んでいたので、基準をそこに置く。前から二列目、右から3番めの席(通路を挟む)を確保。91番の割には運が良かったかも。
映画は前半1:50、10分の休憩を挟んで後半1:35分。感覚から言うと、前半は実際以上に長く感じたが、後半は短く感じた。
映画としては、見事だと思う。さすがワイズマン。
映画は冒頭、利用者からの電話へのスタッフの対応シーンからくすっと笑わせてくれる。
続いて、リチャード・ドーキンス、エルビス・コステロ、パティ・スミスといった著名人を含めたスピーチやインタビューや図書館のスタッフのミーティング、図書館の利用者や子どもたちとのやりとり、交流、各々の分館での地域住民との話し合い等々を丁寧に追っていく。
手法は前作「ニューヨーク、ジャクソン・ハイツへようこそ」に、やはり近い。
インタビューやミーティング、ひとつの話し合いの場面は、部分的に切り取ることを極力避け、まとまった内容はきちんと伝える。したがって尺が長くなるのはいたしかたない。でも、制作者側の意図はその分、しっかり伝わる。

前作も今作も、テーマや題材こそ異なれど、監督の意図や手法は共通している。
今回は図書館を通じて、アメリカやニューヨーク、引いては世界の、人種問題を初めとする社会問題や歴史、地域にとっての何が「リアル」なのかについて等を伝えようとする意図はよくわかる。
図書館の周辺の町の様子を時折、挟み込んでいく構成もいい。町の一部としての図書館の存在を、現実の風景の中でそれとなく伝えている。

図書館のスタッフ・ミーティングでは予算の問題はもちろん、ホームレスへの対応といったテーマについても取り上げられる。
図書館は、単なる図書館ではなく、文化的な公共サービスの要として機能しており、さらに機能させようと意図されている。
実際に同じことができるかどうかは別にして、日本の図書館が参考にできるところはいくらでもあるはず。
さらには、民主主義国家における行政サービスのあり方といったことまで考えさせる射程をもっている。示唆的かつ刺激的な傑作である。

ちなみに「エクス・リブリス」とは、ラテン語で「だれそれの蔵書から」という意味で「その本の持ち主を明らかにするための小紙片」のことだそう。

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